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新大統領 その後

Nov 14, 2016

新大統領が決まったあとも、色々とインターネットでニュースを読んでいた。これ以上に自分のリソースを費やすなら、きちんと腰をすえて本を読むか、後述する ACLU に寄付するかで、ニュースばかりを追いかけるのはそろそろ終わりにしたい。

楽観論と二大政党制

Hacker News で見かけて It’s Going to Be Okay を読んだ。

America didn’t die. In fact, what happened last night is America being very much alive. Half the country felt ignored and angry and disenfranchised and they wrested control of the government from the people they felt ignored by. That’s how democracy works.

記事のトーンは楽観的で、それでも (それだからか?) 議論をよんでいる。Hacker News のスレッド はだいぶ伸びているし、著者の Tim Urban も It’s Going to Be Okay – Follow Up というフォローアップ記事を書いている。ここで指摘されている「民主党政権が続いたあとは共和党政権が勝つ」というシンプルなパターンは

Putting Trump himself aside for a second—politically, what I saw Tuesday night is an inevitable shift of tide. In American politics, the party zig-zag is one of the most reliable patterns you can find.

イギリスの EU 脱退と、今回の大統領選とをつないで、なにかを説明しようとするのは、性急すぎるのかなあと思わされる。

書類のない/不法滞在する移民たち

選挙の際に “undocumented immigrants” という言葉を時折みかけた。その “undocumented” の含意がわからなかったので 【翻訳】「書類がない移民」としての人生 – アメリカの「不法移民」とはどんな人なのか?ピューリッツァー賞を獲ったあるジャーナリストの回想記 を読んだ。

この記事のタイトルになっているundocumented immigrant(書類がない移民)とは、いわゆるビザや滞在ステータスなど、アメリカ国内において滞在を合法とする移民法関連の書類がないという意味です。これは、いわゆるillegal aliens(不法移民)という言葉の「不法」という言葉に対する抗議として選ばれている言葉でもあります。

翻訳されている記事の Jose Antonio Vargas は、偽造書類で入国して、ソーシャルセキュリティカードの「労働許可がある場合のみ有効」を修正テープで消した後のコピーをかわりに使い、パスポートがないので海外旅行から嘘をついて逃げ回りながら、ワシントンポストやハフィントンポストで働いている。

これは、すごいなあ。こういう個人の話を読むと感情移入してしまうけど、一方で「書類がなかったら合法じゃないし、合法じゃなかったら自分の国に帰るしかない」ともどこかで思ってしまう。

そもそも Donald Trump の各種公約は実現できるのか

ACLU (American Civil Liberties Union - American Civil Liberties Union) は、If Donald Trump Implements His Proposed Policies, We’ll See Him in Court で、各種公約が違法ないし憲法違反であることを指摘し、寄付を呼びかけている。

These proposals are not simply un-American and wrong-headed, they are unlawful and unconstitutional. They violate the First, Fourth, Fifth, Eighth, and 14th Amendments. If you do not reverse course and instead endeavor to make these campaign promises a reality, you will have to contend with the full firepower of the ACLU at every step.

ACLU は通信品位法 (Communications Decency Act) や愛国者法 (Patriot Act) にも反対していた、歴史ある NGO らしい。

Time Capsule その後

Nov 13, 2016

最近になって

Time Machine completed a verification of your backups. To improve reliability, Time Machine must create a new backup for you.

というメッセージが出るようになってしまった。以下のページを参考に fsck_hfs をかける方法もためしてみたんだけど

エラーは修正できず、結局は新規のバックアップをとりなおした。9月末に買ったことを考えると、11月にこうなってしまうのはだいぶ心もとない。

新大統領

Nov 9, 2016

正直にいうと「結局は Hillary Clinton になるんだろう」とふんでいたので、本当にびっくりした。私の住んでいるワシントン州は Clinton が勝つといわれていて、実際に勝った “青い” (民主党が強い) 州なので、いますぐに酷いことが起こったりはしないと思いたい。

シアトルの市長の Ed Murray は

Regardless of tonight’s national results, tomorrow Seattle will remain a city guided by the values of equality, inclusion and openness. Tomorrow we will continue to support women, we will welcome as neighbors our Muslim brothers and sisters, and tomorrow Black Lives will still matter. Our City will remain strong because of our diversity, not in spite of it.

という 声明 を出していて (KIRO7, 動画)、頼もしい。

イギリスの EU 離脱のときに読んだ、地べたから見た英EU離脱:昨日とは違うワーキングクラスの街の風景 は興味深くて、アメリカにも分断はあるんだろう。

私は、外国人で移民で、さらに多国籍大企業のために働いている。グローバリゼーションと呼ばれる何かに支えられて生活している身なので、こういう結果をみると、怒られているような、申し訳ないような、なにか苦いような気持ちになる。

抗議活動

シアトルでは、その後 抗議のデモ もあったらしい。

昔は、こういうのをみると「左翼のひとって選挙に従わないよね。デモで結果がひっくりかえったら多数決じゃないじゃない。」くらいに思っていた。

でも、例えば Day 1 in Trump’s America にまとめられているような話を読むと、大統領が決まったことで勢いづく酷い人々とか、それに怯える人々に対して、こうやって声をあげることは必要なんだろうと思う。

Dotty は Scala コンパイラを新しく書き直すプロジェクトで、Scala の設計者である Martin Odersky の所属する EPFL (スイス連邦工科大学ローザンヌ校) の人々を中心に開発が進められている。

ソフトウェアの書き直しは議論をよびがちなトピックで、2000年ごろにインターネットにいた人々だと Netscape の死と Joel Spolsky の Things You Should Never Do, Part I を思い出す人も多いと思う。たとえば、2011年にはてなブログが公開された際には、この Joel の文章をひいた はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか? という文章が書かれている。

個人的には、これらの文章は煽りすぎで「ソフトウェアの書き直しをするべきかどうか」という問いには「時と場合による」としか言いようがないと思っている。

ここ数年のはなしをすると、Web アプリケーションのようなクライアント・サーバー型のソフトウェアの流行は、それ以前の明示的なダウンロードと実行をともなうソフトウェアにくらべて、書き直しのリスクを下げたと思う。たとえば、新しいコードをお客様の 10% に解放とか、でもコーナーケースにバグが見つかったから 0% に一瞬で戻すとか、さらに富豪的なものだと、同じリクエストを複数のサーバーに投げて、片側の結果は捨てるとか、こういうことは、クライアント・サーバー型で、かつクライアント側が薄いことがだいぶ助けになっていた。

一方で、最近の世の中は、ブラウザで JavaScript をたくさん実行したり、電話に明示的にソフトウェアをダウンロードさせて実行するような方向に傾いている。こういう環境で Web アプリケーション時代のいろいろなテクニックが使えるかどうかというと、私にはあまり知見がない。

Martin Odersky は、Scalawags #38 で、C# コンパイラの (成功した) 書き直しである Roslyn プロジェクトを引き合いに、Dotty がなぜ書き直しなのかを説明していた。

Coursier

一方で、以前に趣味で scala/scala (主に Scaladoc) をいろいろ直していた 身としては、現状のふたつコンパイラがある状況はなやましい。また、Scala 2.12.0 の Scaladoc は、EPFL の Felix Mulder の変更が入っていて、びっくりするくらい見た目がよくなった。

というわけで、Scala コンパイラ以外で何か面白そうなものはないかなと探していたら、Coursier を見つけた。Coursier は Maven と Ivy から jar をダウンロードするためのライブラリで、一気に jar を並列ダウンロードするので速い、らしい。

てはじめに、再帰する pretty print 的な関数がスタックオーバーフローする というバグを 深さ優先探索のループにして直すプルリクエスト を出していたら、無事にマージされた。

今日は用事があって出かけた帰りに、The Elliott Bay Book Company に行ってきた。ここはカフェも併設されている良い本屋で、Capitol Hill に出かけたときにはつい立ち寄ってしまう。

食をテーマにした zine の Put A Egg On It とか、初期の電子音楽シーンの女性たち みたいな変わったテーマの zine を作っている Night Pong のものとか、インターネットとかテックなはなしに関わる人々についての雑誌の Offscreen とか (まえに hysysk さんに Twitter で教えてもらった)、ヒップホップの歴史マンガの Hip Hop Family Tree とか、そういう面白い本が色々と売っている。

ちなみに、コンピュータ関係の本は二階にあるけど、量がないうえにあまり厳選されてもなく、これは Pacific Place の Barnes & Noble に行ったほうがいいと思う。

今日は、シアトルに引っ越してきたらしいVice にも書いている、Simon Hanselmann のマンガでも買おうと思っていたんだけど、パラパラめくってみたら想像よりだいぶどぎつくて、結局は買わずじまいで終わってしまった。