舎路(シアトル)日記

シアトルで働く日本人プログラマの日記です

以前に CACM で読んだ “Portable Device Fears Show Power of Social Development” について書いた結果、いくつか Twitter でリンクを教えてもらった

FiveThirtyEight の ‘Screen Time’ For Kids Is Probably Fine は、テレビの影響について

These are a small number of the many, many studies that show associations between time spent watching television and health and development outcomes. But all these studies have an obvious problem: the amount of TV children watch is not randomly assigned.

と、いくつかの研究結果がテレビの影響とその他の要因の影響を分離できていないことを指摘する。例えば、テレビを子供のうちによく見る家庭は比較的貧しく、人種的マイノリティに属していて、両親も高等教育をうけていないことが多いらしい。

逆に、ここをきちんとランダムになるよう実験を計画すると、テレビの視聴時間とテストの結果の相関はもっとぼんやりしたものになるらしい。

この他に、スクリーンそのものが悪いという説や、テレビをみない間に子供がなにをするかについての暗黙の期待などについても触れられている。

一方で、Dimitri Christakis の TEDxRainier 講演である、Media and Children も見た。こちらでは、幼児期のテレビ視聴から得られる過度の刺激によって、脳ないし意識が強い刺激を好むようになり、刺激の弱いものについて適切に注意をはらうことができなくなってしまうのでは、という危険性について語られている。

大企業の存在感

Dec 8, 2017

2000年代の初頭を、Web かつ LAMP よりの開発者としてすごしたのは、自分のソフトウェア業界のみかたに影響を与えていると思う。

当時は、Microsoft の勢いに陰りがでていて 1、一方でクラウドやスマートフォンはこれから、Google は検索エンジンとしては圧倒的だったけど自社のブラウザは持っていない、という時代だった。

こういう状態が数年のあいだ自分にとっての「普通」だったので、スマートフォンが出てきて、アプリケーションの流通が企業に握られて、サーバー側もあまりソースコードが読めなくなっていって、人々が Google I/O や WWDC みたいな企業主催のカンファレンスを心待ちにしているという現状をみると、だいぶ遠くにきてしまった感がある。

Paul Graham がもうひとつの未来への道 (2001) で書いている

デスクトップソフトウェアを書こうと思ったら、マイクロソフトの土俵にあがらなくちゃならない。OSのバグを回避しつつ、彼らのAPIを呼ばなくちゃならない。そしてやっとのことで、売れるソフトウェアを書き上げた時、あなたは単にマイクロソフトのマーケットリサーチをやっていただけだったということを知るのだ。

というのは、デスクトップとマイクロソフトを何か別のものに入れ替えたら、最近もわりと既視感のある話なんじゃないかと思う。ここから完全に逃げられるかとぼんやり思っていたんだけど、そう上手くはいかなかった。

一方で、当時こそが、時代の移り変わりの谷間の特殊な期間だったんじゃないか、とも思う。私より前の世代や別のスタックに住んでいた人だったら、Microsoft の黄金期だったり、商用 Unix だったり、ソフトウェア業界における大企業の存在感というのは、あたりまえのことなのかもしれない。


  1. 2007年に、Paul Graham がマイクロソフトは死んだという文章を書いている。 [return]

検索について、形態素解析、N-gram, PageRank とか雑多なことは知っているんだけど、例えば「検索をパーソナライズしたい」なんてときに全くわからないので、色々 Google で論文を巡っていた。

Personalized Ranking Model Adaptation for Web Search は University of Illinoi, Microsoft Research, Microsoft Bing の人々の書いた論文で、普通に検索して最初のページをなんとかパーソナライズするのではなく

Conventional personalization methods learn separate models of user interests and use those to re-rank the results from the generic model.

こう、なんか上手いことやるらしい。読んでみてはいるけど、文字を追っている感じで、色々勉強しないと理解するのは難しそう。日本語で解説しているスライドはあったけど、それでも難しい。

論文に引用されているものを地味に読んでいくか、Kaggle の Personalized Web Search Challenge にある論文を読んでいったりすると、来年の Q1 くらいには理解できるようになると思いたい。

こういう検索と機械学習を組み合わせた分野は Learning to Rank (ランキング学習) と呼ばれているらしい。これについては DSIRNLP の発表資料がわかりやすかった。

ex-mixi Advent Calendar 2017 に参加して、Kotlin のコレクションと Mapped Types について書いた。Kotlin が喧伝する Java との相互運用性 (interoperability) って実際のところなんなのか? 別に Scala と変わらないじゃないのか? という問いに対して、このコレクションまわりの設計をあげるのは、まあまあ同意してもらえる答えなんじゃないかと思う。

私は一時期 Scala に肩入れしていたので、Android におけるベター Java の位置が Kotlin に取られてしまいそうなのは残念だ。一方で、ランタイムサイズを考えると妥当な選択肢だとも思う。

サーバー側のベター Java の位置は

  • Android で Google のお墨付きをえた Kotlin
  • Dotty の開発もすすむ Scala
  • 6ヶ月ごとのリリースになった Java

どれが来るのか、まだわからない。

そもそも誰もベター Java なんて必要としていなくて、Go が流行りだすというのもありえる、というか現実に起こりつつあるけど、個人的には map や fold ができるような言語にがんばってほしいです。

家にたまっている Communications of the ACM から、親らしく Portable Device Fears Show Power of Social Development という記事を読んだ。

記事では、テレビは子供に悪いといわれているけど

When those studies on behavior were done, technology just meant television. There is nothing that’s formally in the literature linking those outcomes to portable digital media.

はたしてタブレットなどで消費するデジタルメディアはどうなのか、という点について何人かの研究者の声を紹介している。

テレビが悪いってそこまでわかってるんだっけ、と Google してみると、記事の中にも出てくる Dr. Dimitri Christakis

He and his colleagues in the Christakis Lab have made a number of landmark findings, including discovering that young children who watch TV are more likely to develop attention problems and other health and behavioral issues.

という研究をしていて、一般向けの “The Elephant in the Living Room: Make Television Work for Your Kids” という本も書いているのを知った。氏は TEDx でも話しているみたいなので、まずはそれを見てみるのも良いかもしれない。本は読み切れるか少し不安。

“What we are finding in our lab is that these devices command attention much better than other things. It can make it more difficult for parents to interact with their children,” Christakis adds. “I tend to think of the effects being mediated through two different pathways. One is the direct pathway, which is the actual content. Interactive media could lead to the same kind of overstimulation as fast-paced TV, although being interactive, it means the child can control the pacing in a way that isn’t possible with television.

“There is also the indirect pathway, which works through displacement. This is about what could they be doing that they aren’t, whether it’s singing, reading, or going outside to play. Even if someone developed the perfect app that was perfectly paced and shown to be beneficial, if children used that app eight hours a day, we would recognize that behavior as being a problem,” Christakis adds.

他にも、時間制限を子供に決めさせる話や、スクリーン上での学びを現実に適用することは子供には実は難しいこと、デバイスを2人で共有させたほうが専有するよりもテストで良い結果が出たという話など、興味深いものが多かった。