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Cal Newport “Digital Minimalism” を読んだ。

タイトルになっている “Digital Minimalism” というのは著者の造語で、

A philosophy of technology use in which you focus your online time on a small number of carefully selected and optimized activities that strongly support things you value, and then happily miss out on everything else.

という考えかたをいう。世の人々はこれに対して「少しでも便利になる可能性さえあればテクノロジーを使う」という考えかたをしがちで、そこには問題がありますよというのが本書の主張。

大きく二部構成になっていて、前半の Foundations では Facebook に代表されるアテンションエコノミーの問題点と、それに対するミニマリスト的なアプローチを、後半の Practices では、一人で時間を過ごすことの重要性、コミュニケーションの時間と質の改善、余暇の時間のすごしかた、みたいな話題について著者の考察が述べられている。

Cal Newport の他の本を読んでいる人なら知っての通り、著者はそもそも Facebook のアカウントを持っていない。著者の抱えていない問題について、大量の参考文献から論を組み立てているところがあって、そこは少し物足りない。

私個人は、携帯電話から Facebook をアンインストールして、最近はブラウザも消してしまうのを試みている程度には、ミニマリスト的なアプローチをとっているので、前半の Foundations はそこまで目新しくなく、どちらかというと後半の Practices, とりわけ Spend Time Alone のところが印象的だった。

ここで著者は、孤独 (solitude) の価値をとくのだけれど、その定義はかなり狭い。

As Kethledge and Erwin explain, however, solitude is about what’s happening in your brain, not the environment around you. Accordingly, they define it to be a subjective state in which your mind is free from input from other minds.

例えば、帰りのバスでポッドキャストを聞いたり、カフェで本を読んだりするのは、ここでの「孤独」には含まれない。私は、あらゆる空き時間に何かを読んだり聞いたりしてしまう嫌いがあり、そこで読むものに気を配ることはあっても、読まないで考えるというのは選択肢から除外しがちだった。ここはもうちょっと考え直したほうがよさそうに思う。