舎路(シアトル)日記

シアトルで働く日本人プログラマの日記です。

すこし前に、Manning Publications から「こういう企画の持ち込みがあったんだけど、どう思う?」というメールをもらって、アンケートに答えるという機会があった。

Manning はアメリカの技術系出版社で、日本で翻訳書が出るときには、オライリージャパンをはじめ色々な出版社からでること、その際に表紙も変えられてしまうことも相まっていまひとつ存在感がないかもしれないけれど、jQuery の John Resig 自らが著者に名を連ねる Secrets of the JavaScript Ninja や、Keras の François Chollet が書いた Deep Learning with Python、ちょっと毛色が変わったところでは、higepon さんオススメの Soft Skills まで、手広くやっている。

技術系書籍の編集者の k16 さんは、英語圏のIT系技術書ブランドについての雑感

しかし現在は、この記事でも一押しの No Starch Press はじめ、やはり中堅どころの Manning Publications など、現時点で創業20年前後を迎えている中小の出版社のほうがむしろ精力的に面白い書籍を生み出している印象があります。

Manning を「中堅どころ」と形容している。

Write for Us

Manning のサイトには Write for Us というページがあり、Manning から本を出すまでのプロセスが詳細に説明されている。特に面白いのが最初に著者が提出しなくてはいけない企画の提案書で、そこには

  1. Tell us about yourself.
  2. Tell us about the book’s topic.
  3. Tell us about the book you plan to write.
  4. Q&A
  5. Tell us about your readers.
  6. Tell us about the competition.
  7. Book size and illustrations
  8. Contact information
  9. Schedule
  10. Table of Contents

という10個の項目について細かく質問がある。例えば Tell us about the book’s topic なら

  • What is the technology or idea that you’re writing about?
  • Why is it important now?
  • In a couple sentences, tell us roughly how it works or what makes it different from its alternatives?

Tell us about your readers なら

Your book will teach your readers how to accomplish the objectives you’ve established for the book. It’s critical to be clear about the minimum qualifications you’re assuming of your reader and what you’ll need to teach them.

こういった感じ。マッハ新書のような自費出版が話題をあつめる2018年には、すこし慎重すぎるような感じも否めないけれど、これで選別した企画にさらに編集者がついて質を担保するのが、インターネットで無料の情報が得られる時代に、出版社が担うべき役割だとも思う。

この提案書を送ると、Manning と外部の人々からのフィードバックが著者に送られる。

After we have had a chance to review your submission, we will send you feedback, both from us and from outside experts. As a rule, you can expect to revise your proposal several times during the discussions.

冒頭でふれた私が答えたアンケートは、おそらく、この “outside experts” からのフィードバックとして扱われるのだと思う。

まとめ

Manning というアメリカの技術系出版社についてと、その出版社が公開している企画提案書について紹介しました。

ちなみに、提案書を送ったあとの流れについてもシステマチックに流れが決まっていて、読んでみるとなかなか感心します。日本の出版社でも同じようなプロセスは決められているんだろうけど、私はそういうものを目にする立場にないので新鮮でした。

こういう質問を自問自答してみるのは、例えば自分でブログや YouTube チャンネルをはじめて、そのリーチを伸ばしたいときにも役に立つんじゃないかと思う。そこまでかっちりしたくないですかそうですか。

追記

萩原正人さんが、著者として Manning のプロセスをみた、海外で技術書をゼロから執筆・出版する方法 を書かれています。