舎路(シアトル)日記

シアトルで働く日本人プログラマの日記です

O’Reilly の Site Reliability Engineering という本が無料になっていた。すこし前に Kindle で買っていて、でもまだ読みきっていなかったので、すこし損した気持ちになる。

読んでいて思い出すのは、『テストから見えてくるグーグルのソフトウェア開発』という本のことだ。私は Google Testing Blog を読む程度には Google ウォッチャーなので、この本は原書が出た時点 (2012年) に読みはじめてブログにも書いた。

一方で『テストから見えてくるグーグルのソフトウェア開発』と “Site Reliability Engineering” には大きな違いもある。

前者はグーグルのなかでテストに関わるエンジニア職である SET (Software Engineer in Test), TE (Test Engineer) の組織構造や仕事の内容を紹介しつつも、最後にはこれらの職の発展的な解消を予言ないし期待して終わる。一方で、後者は SRE (Site Reliability Engineer) という職を新しく定義して、これから売り込もうという本のようにみえる。

その後の James Whittaker とその後の SET

実際に『テストから見えてくるグーグルのソフトウェア開発』の著者のひとりである James Whittaker は、はじめは Test Director として Google に入社し、Google Testing Blog にも精力的に投稿する「テストのひと」だったけど、最終的には Google+ の Development Director というテスト色の薄い (LinkedIn いわく “Engineering Director for Google+ APIs and dev/test tool chain” なのでゼロではないけれど) 仕事につく。

でも、その後には Google の変化と Google+ に失望して、前職の Microsoft にもどる。Google Testing Automation Conference 2011 の基調講演が「正しくものを作るまえに、正しいものを作るべきだ」という内容の Test is Dead だったことを考えると、Google+ に失望して退職というのは、なかなか苦味のあるはなしだと思う。

一方で James Whittaker なき後の Google では、2016年に SET を SETI (Software Engineer, Tools & Infrastructure) と改名して「テスト」を名前から外してしまう。

SET から SETI への変化で、業務や組織構造が実際にどれだけ変わったのかは、Google 社員ではない私にはいまひとつわからない。ただ、テスト職の発展的解消という予言と期待は、部分的には成就したといっても良いんじゃないかと思う。

Site Reliability Engineering vs. Site Reliability Engineer

そういう歴史をふまえると、availability と latency と、あと何個かを足して “Site Reliability Engineering” と呼ぶのには便利なこともあるかもしれないけど、職種としての “Site Reliability Engineer” は発展的に解消されないのかと少し疑問に思う。

とりあえず本を読んでみます。