アメリカに住むようになってから、英語を真面目に勉強するようになった。泥縄が過ぎる話だけど、英語ができないと困ることが増えたので仕方がない。
去年は iKnow と Duolingo という二つのサービス (どちらも Web と iPhone, Android むけアプリがある) を主に使っていた。iKnow は2014年から、Duolingo は2015年からずっと使っている。その他には、えいぽんたん と mikan も少しだけ使った。
現時点の個人的な結論をはじめに書くと、英単語を覚えるなら iKnow が、英語全体を初心者が学ぶなら Duolingo がおすすめで、2015年と2016年は両方を、いまは iKnow だけを毎日やっている。
iKnow
iKnow は例文付きで英単語を覚えるためのサービスで
- 例文のほとんどに音声がついている
- 復習のタイミングを適切に管理してくれる
- 比較的難しい単語までカバーしている
といった特徴がある。一ヶ月プランだと月額1,000円以上と、絶対値としての価格の高いサービスだけど、値段相応の価値はあると思う。
使い始めたころは電車で通勤していたので、主に通勤中にスマートフォンのアプリから、最近は徒歩通勤になったので、家から Web アプリを使っている。
コースのえらびかた
iKnow では勉強する内容が「英会話マスター400」「TOEIC」「ビジネス英語」といったいくつかのカテゴリに、カテゴリのなかにさらに「TOEIC 470点を突破しよう!」「ビジネス英語入門」といったコースがあり、そこから好きなものを選んで勉強する、というかたちになっている。
私は、iKnow を使うまえ、2013年にうけた最後の TOEIC が870点で、でも受験的なテクニック (わからなくてもマークシートは必ずどこかマークする) も駆使していた自覚があったので、最初は「TOEIC 800点を狙え!」から数コースを選んでやっていた。
いまは「SAT対策」からふたつ、「偉人たちの名スピーチ」からふたつオバマ大統領の演説をとって勉強している。同時並行ですすめるコースは少なめのほうが「このコースは終わったから、次はどのコースをとろう」というイベントが定期的に発生して、達成感を味わいつつ、気分転換になるので良い。演説をいれるのは、英語学習にありがちな「ボブはクライアントからの電話を私に転送した」みたいな文章を延々と覚えることのつらみを軽減してくれる。
毎日の勉強
毎日の勉強には、複数のコースをまとめてやるようにしている。特定のコースを選んで勉強するのも、たまの気分転換には良いけど、基本的には使わない。
iKnow には、アプリケーション内にさらにアプリケーションという概念があって、いくつかの方法で英語を勉強できる。私は iKnow (iKnow のなかにさらに iKnow があって混乱する) と Sentence Trainer を主に使っている。
勉強時間の記録も自動でつけてくれていて、私は1日15分以上を目標にしている。以前は1日の目標と一週間の目標を別にして、週末に足りないぶんを挽回していたりしていたんだけど、最近はそこまではやらなくなった。
ホーム画面には、連続継続学習日数が表示されるようになっていて、最初はこれを伸ばすのに集中するのが良い。私の場合、10日をこえたあたりから、これが途切れてしまうのがすごく勿体無いことに思えてきてしまって、日付が変わる直前に数秒だけやる、みたいな必死さがでてくる。
Duolingo
Duolingo も例文付きで英単語や英文法を覚えられるようなサービスで
- 例文のほとんどに音声がついている
- 復習のタイミングを適切に管理してくれる
あたりは iKnow と同じように使える。
- 無料
- 回答の判定が柔軟 (機械学習的な何かを使っているのだと思う) で、同じ意味のちがう単語もそれなりに認識できる
- 精度はそれなりだけど、音声認識による発音チェックがあるので、声をだす練習になる
- 他のユーザーをフォローして (ひそかに) 競い合える
といったところは iKnow より優れていて
- 出題される問題の難易度があまり高くないので、長くは使えない
- オフラインでは動かないので (機械学習的な何かがサーバー側で動いているのだと思う) 通勤電車フレンドリーではない
といったところは良くない。
コースのえらびかた (は無い)
Duolingo には「日本ができる人のための英語」「英語ができる人のための中国語」「英語ができる人のためのフランス語」みたいなコースはあるけど、それ以上の細かい区分はない。あまりいろいろ考えないではじめられるところは親切で良い。
iKnow とくらべると英語圏向けにつくられている感が強くて、日本語ができるひとのためのコースは英語しかない。
毎日の勉強
Duolingo は iKnow よりもゲーム的な作りになっていて
- レッスンを順番にクリアしていく
- テストをやって、複数のレッスンをクリアする
という二つの進め方がある。
前者は何度まちがえても続けらるけど、テストは何回か間違えると強制終了されてしまって、そこまでの経過はまったく記録されない。ここには「これは自信があるからテストで一発合格にするか、でも間違えたら時間が勿体無いからレッスンを地道にやるか」みたいな戦略の楽しみがある。
ゲーム的なところは、リンゴットという仮想通貨がレベルをあげていくことで貯まっていったり、それをつかって連続継続学習日数が途切れるのを防げたりと、時間制限を追加できたりと、色々にわたっている。
一方で、前述のとおり問題の難易度はあまり高くない。私の場合、日本語ができる人のため英語のコースは、半年もしないうちにすべて終えてしまった。コースを終えてしまうと、Duolingo が忘れかけていると判断した単語を覚え直しながら、いまひとつ計算方法のわからない語学レベルをあげるとか、連続継続学習日数をのばすくらいしかやることがなくなってしまい、だいぶ面白みが減ってしまう。
えいぽんたんと mikan
そのほかにもえいぽんたんと mikan も少しだけ使ってみた。
えいぽんたんはソーシャルゲーム風のサービスで、キャラを育てたりイベントがあったり、いわゆるゲーム風の要素が多めに作られている。はじめはそれが楽しかったけど、だんだん英語学習以外の要素が面倒になってやめてしまった。
mikan は Tinder 風のシンプルなユーザーインターフェースで、ひたすら英単語と日本語の意味をペアで覚えていくには向いている。ただ、iKnow の「英単語を英文の中で覚える」というのに慣れた身からすると、覚えた単語をどういうときにどう使うのか、という部分を学びにくいように思う。
まとめ
- 英語全体を初心者が学ぶなら、まずは無料でシンプルな Duolingo
- Duolingo が物足りなくなってきて、もっと英単語を覚えたいなら iKnow
あわせて読みたい
私が過去に書いた iKnow, Duolingo がらみの記事 (2015)
TechCrunch 西村さんの mikan の紹介記事。自身が英語学習ソフトを自作 (!) しているだけあって、新規性の検討などがちゃんとされていて面白い。
morrita さんの英語学習遍歴。ひとの紆余曲折は参考ないし励みになる。
- にわか TOEIC マニア (2013)
刺身さんの Duolingo, iKnow 比較。私と逆のはじめかた (Duolingo をやってから iKnow) なので、感じかたに違いがある。
- Duolingo と iKnow! (2015)
higepon さん、小関悠さんの、英語の不得意さを補う話。小関さんは「天邪鬼に」と書かれているけど、資料を用意するくだりなんかは higepon さんの丁寧さに通じるところがあると思う。
- 英語があまりできない人のためのミーティングの話 (2013)
- 英語を話せない人が外資系でサバイブする術 (2016)