私は web3 は基本的にダメだと思っていて、Letter in Support of Responsible Fintech Policy にも同意して、署名している。
一方で、Web 2.0 時代によく読んでいた、渡辺千賀さんは暗号通貨勉強会をやっているし、UIEvolution の中島さんは Nouns DAO を高く評価している。中島さんは
AWSやAzureどころか、IPFSにすら頼らないフルブロックチェーンのスマートコントラクトは、ブロックチェーンそのものが無くならない限り未来永劫、動き続けるのです。その事実とそれが意味するところに気づいた時には、稲妻の様な衝撃が走りました。
と書いていて、その、インターネット上に巨大なデータベースとチューリングマシンが出現していて、それがかっこいいな、という気持ち自体はわかる。
あるいは、伊藤穣一さんも日本国内では web3 の人としての活動が多くて、
たとえば僕はジャニーズ事務所の顧問を務めているのですが、2022年、ジャニーズ事務所は、コンサートチケットの一部をNFT化する挑戦をはじめます。
なんてこともインタビューでいっている。私は彼らに一定の信頼をおいているので、web3 にもじつは見るべきものがあるのかもしれない。
そういえば、楠正憲さんが、
とりあえずBitcoinやEthereumの基本的な仕組みをO’ReillyのMasteringシリーズで学んで金融庁の「分散型金融システムのトラストチェーンにおける技術リスクに関する研究」を斜め読みして、分からないところをネットからの情報で補完したらだいたい追いつけるんじゃないかな
と書いていた。私はここらへんちゃんと勉強していないので、Mastering Ethereum と金融庁のものくらいは読んでもいいかもしれない。Proof of Stake 移行の後にしたいけれど、そもそも今年に移行できるのかな。
プログラマも、もうちょっと一般むけに話したほうがいい
ロシアのウクライナ侵攻では、私は小泉悠さんとか、国際政治チャンネルまわりの人々を信頼、追っていて「ロシアが悪い」という立場でいる。新型コロナウィルスに関しては、あまり政策についての定見はないのだけど、西浦博さんは追っている。
こういう、専門家がテレビやマスメディアを待たずに、一般の人々に話しかけられるようになったのは、インターネットが普及した結果おこった良いことの一つだと思う。
web3 も、ロシアのウクライナ侵攻とか新型コロナウィルスほど大きい話題ではないけれど、日本には一定の期待をおいている人々がいる。たとえば平将明議員は、GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人) による投資の可能性にまで言及している。
GPIFには現在、概ね200兆円の運用資産がある。そこから、0.5%にあたる1兆円を切り出し、スタートアップ支援ファンドを作るのも良い。税制やレギュレーションの整備、特区、ファンドなどを活用すれば、一気にWeb3の世界のトップに立てると思っている。環境さえ整えば、日本に来たい人はいっぱいいる。
スタートアップ支援はいいけれど、それで web3 世界のトップを目指すのは愚策だと思う。まあ、インタビューは今年の4月のもので、Telsa が7月に Bitcoin の大半を売却したりしているなか、いまもそう思っているかというのは定かではないけれど。
ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウィルス、もう少し日本にローカルなものだと、江戸しぐさとか EM 菌とか、専門家がでてきて「それは間違っていますよ」といってくれる話題は結構ある。プログラマというかコンピュータの専門家の人々は、私も含めて、web3 についてそれをサボっていたと思う。
そもそも政府による「選択と集中」が産業支援策としてどうなの、というところまでは覆せなくても、web3 について語ることが「新しい技術に明るく前向き」というポーズをとるための選択肢のひとつにならないようにはできると思うんだけど、どうだろう。甘すぎかなあ。