日本とアメリカでは育児まわりの常識に色々と差があって、寝かしつけにおける「放置」派の多さも大きな差異の一つだと思う。『赤ちゃんが朝までぐっすり眠る方法』の著者は、長女を育てている最中にこの方法を少しだけ試した後に
赤ちゃんがあきらめて眠るまで苦しみと恐怖を味わわせておくなんて、あまりに残酷で、どう考えても賛成できません。
強い反対派にまわり、とりわけ寝付きの悪い四男の寝かしつけに苦労するなか、「泣かせっぱなしにする」「親が我慢して夜中になんども起きる」のどちらでもない方法を探しはじめる。
といっても、あらゆる赤ちゃんに適用できる最強の方法というのは残念ながら存在しないので
- 望ましいと思われること
- 避けたほうが良さそうなこと
- 記録をつけて観察するべきこと
などをふまえて、どうやって段階的に試行錯誤していくべきか、という部分までまとめたものが、本書の内容になっている。
The No-Cry Sleep Solution という McGraw-Hill から出ている本の翻訳なので、やや翻訳書特有の回りくどさや、例示のアメリカ感は否めない。そこらへんが大丈夫なら (Joel Spolsky の著作などですでに免疫があれば) おすすめです。
育児関係の本を読んで思いだしたこと
ひさしぶりに育児関係の本を読んで、子供が赤ちゃんであるあいだはごく短期間で、親は妻と私しかいないということ、その後に、Sheryl Sandberg が『リーン・イン』の「スーパーママ神話」という章で書いていた
私たちは、仕事と家庭の間で、がんばることとくつろぐことのあいだで、誰かのための時間と自分自身のための時間のあいだで、絶えず選択せざるを得ない。親になるとは、のべつ調整し、妥協し、犠牲を払うことである。
全てをこなせるスーパーママなんて存在しないという話を思いだした。もちろんスーパーパパも存在しない。
仕事をして、技術がらみの色々を追っていると忘れがちになるけど、家族や育児のために時間を割くことを選択しているんだから、それ以外のことを昔と同じようになるのは、基本的には無理だということは忘れないようにしたい。
『リーン・イン』は「家族を優先しましょう」という紋切り型にとどまらずに
私の目標は、子供たちが幸せで、元気に成長すること。聖パトリックの日に緑のTシャツを着せるのは、そうできればいいけれど、できなくてもいい。
家族のことにも、仕事のことにも、それぞれ優先順位があって、優先順位が低いことを捨てるのは個人の判断だし、全部をこなすことは無理である、という立場で書かれているのが良い。